黒色ワナビーの住処

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電王戦第二局PVに対するやねうら王の弁明を見て

      2015/06/18

昨日の記事でも触れた話題ですが、磯崎さんサイドがブログで弁明を出していますので、改めて触れておこうかな、と。

まず気になるのが、行ったバグ修正がどういった内容の修正だったのか。棋力に直結するような部分はあったのかどうかという点。その参考になりそうなのが、下記のQA。

Q) 貸し出されたやねうら王(以下、やねうら王2013と表記)に止まるようなバグはなかった(詰みと出たのに詰みを見逃すことはあった)と対戦されていた佐藤紳哉六段はおっしゃっていましたが、その点どうなのでしょうか。

A) バグはたくさんありました。まだ状況によってはやねうら王2013を使って対局することもありうると思うので、詳しくは書けませんが一番ひどいバグとして、角とか飛車をタダで(無条件に)捨てるバグがあります。また、フリーズする局面もあります。もちろん、それらの局面を私は提示することが出来ます。(ドワンゴ側にはやねうら王2013が保存してあるので、確認するのは容易なはずです。)

Q) 佐藤紳哉六段はやねうら王2013αに入れ替えたあと立ち上がり(序盤の出だし)が全く違うとおっしゃっていましたが。

A) 局後学習がうまく出来ていなかったので(搭載されている定跡が優先されてしまうことがある)その部分の修正をしましたが、この修正自体は事前にドワンゴさんの了解を得ている(と私は理解している)内容でした。なので、この修正で序盤の立ち上がりが変化するのはこの修正したことによる当然の結果ではありますが、佐藤紳哉六段の研究が無駄になってしまうので、私としては、それが懸念材料でした。私としても事前研究していただいた内容は無駄になって欲しくないですし、フェアに戦いたいので、この部分が問題になるなら、本番では古いバージョンのほうで40手目ぐらいまで進めて、そこから新しいバージョンに指しつぐなどでも構いませんと私はドワンゴ側に提案しました。しかし、最終的にはこの提案は(視聴者の皆さんがご存知のとおり)却下されました。

Q) やねうら王2013αで強くなっているというのは?

A) 元のコードに根の深いバグがあったので、探索の部分にそれ相応に手を入れました。棋力が変わっているとしたら、その影響なのだと思っています。これが今回のレギュレーション違反に該当するかはわかりませんが、仮に違反しているとしても、限られた期間内でうまく修正する方法がないので、私としては修正するにはこれ以外の選択肢がありませんでした。

とりあえず現時点で公開されているQAでバグの内容に関わりそうなモノを抜き出してきました。

 

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このうち「動作安定化のためのバグ修正」として認められそうなのは、最初のQAにある「フリーズする局面」の修正でしょうか。

他の項目は素人目に見ても棋力や指し手に影響を与えることが容易に想像出来るわけで、今回のレギュレーションを遵守するのであれば手を加えるべきではなかった。

局後学習など『やねうら王』の売りの部分が機能していないのは開発者として口惜しいという気持ちも分かりますが、電王戦本戦への出場を決める電王戦トーナメントにおいてもバグ起因と思われる動作不良で敗退していったソフトは沢山あるわけです。

よしんば世間の注目度も高い電王戦でソフト不具合なんて見せたくない、なんとしても成功させようという思いがドワンゴ側、磯崎さん側にあったとしてもトーナメントで敗退していったソフトおよび開発者のことを考えれば、バグ修正は認めない、ないしは修正可能な範囲を厳密に取り決めるなどの配慮が必要だったと思います。

この辺りの最終的な責任は修正を認めた主催者側にあると思いますが、磯崎さん側もフェアな勝負をと言っているわりには、修正による影響を充分考慮したのか疑問視せざるを得ない部分が多く、まったく非がないとは言えない状況でしょう。

特に佐藤六段側が主張している「棋力への影響はないと嘘をついた」という部分について。

Q) 「指し手の性質が変わらない」と言ったのに変わっていたということは、あなたは明らかな嘘をついているわけですが?

A) コンピューター将棋の要は評価関数であり、今回の修正に関してその部分は全く触れていないので、指し手の性質がそこまで変わるとは思ってなかった(~省略~)同じソフトでもデスクトップ機とノートパソコンとでは「まったく別人のように感じる」という声も聞くので、棋力が変わった結果、指し手の性質が変わっているというのはあるのでしょう。この部分、佐藤紳哉六段を騙そうとかそういう気持ちは私には毛頭なくて、「指し手の性質が変わっている」と佐藤紳哉六段からのメール(ドワンゴ経由)にあったときも、「あー、そういうことってあるのか」という新鮮な思いでそのメールを拝見していました。(~省略~)

評価関数を変えていないので指し手の質は変わらない。騙すつもりは無かった、との主張ですが、局後学習の修正に関するQAの部分で「この修正で序盤の立ち上がりが変化するのはこの修正したことによる当然の結果」と述べている以上、指し手に影響が無いと思ったいう主張は通らないでしょう。

また、本QAの「棋力が変わった結果、指し手の性質が変わっているというのはあるのでしょう」という発言は、裏を返せば指し手の性質が変わることは予想していなかったが、棋力向上に関しては想定した上でアップデートを行ったともとれる内容です。

磯崎さん側がドワンゴとの守秘義務を理由に時系列を明らかにしていないため、この部分に関しては憶測が多分に入りますが、やはり磯崎さん側と佐藤六段側との間で、ソフトの棋力が変わらないという部分に関する認識の違いがあったものと思われます。

昨日の記事にも書きましたが、佐藤さん側は「バグがある弱い状態のソフト」が本来の棋力と思い、そこから変わらない改修なら認めましょうと言ったのに対し、磯崎さん側は「今のソフトはバグで弱くなっているからアップデートして元の強さに戻すよ。(棋力は向上するけど)あくまで元の強さに戻るだけだから問題ないよ」というような齟齬があったのではないかと。

で、本来ならば間に入って「磯崎さん、流石にその言い分は通らないですよ」と止める立場のドワンゴが、対立を煽ったほうが面白そうだから認めちゃおうぜ、みたいな判断をしたのが今回の件の真相ではないかなぁ。

最初から台本ありきでこの対立が仕組まれていたとは思わないけど、棋士と開発者がガチでやろうとした結果生じた火種を主催者サイドが面白がって煽っている。その結果があのPVだ、と。

分からないのはこの件に将棋連盟側がどの程度絡んでいるのか。修正を認める際の協議には将棋連盟側も対応しているとのことなので、本件のことは事前に知っていたはずなのですが。どうなんですかね。実際のところ。

本来であればプロ棋士側の代表としてこのような問題が生じた際には間に入り落としどころを模索しなければならない立場のはず。それがこのようなことになっている事を考えると、連盟側にも一定の責任があるものとは思いますが。

連盟側が公式声明を出していないので(そして今後も出すことはないでしょう)から具体的に何が問題だったのかはイマイチ見えてこないです。

とりあえずこのままではどうも後味が悪いので、主催者サイドには早いとこ落としどころを示して欲しいのですが。

あと磯崎さんも時系列含めてキッチリとした説明をして欲しいところです。

私は主催者サイドの責任が一番大きいと考えていますが、磯崎さん自身の責任も小さくはないと思っています。今回の説明も十分だとは思えません。ドワンゴの口止めの影響かは知りませんが、どうにも重要な点をぼかして言い訳を繰り返しているようなイメージを持ってしまいます。

来週行われる第二局までにこの疑念を払拭する情報が開示されればいいのですが。
まぁ、難しいのでしょうね。いろいろと。

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