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【フリゲ】『神林家殺人事件』レビュー!ミステリがミステリしてミステリーだよ!【75点】

   

タイトル:『神林家殺人事件』
ジャンル:推理探索アドベンチャー
点数:75点


神林家殺人事件

ノックスの十戒にヴァン・ダインの二十則。フーダニット、ハウダニットとホワダニット。アンチミステリ、コージーミステリ。ミスディレクションにレッドヘリング。

そして、後期クイーン問題。

何の呪文だと訝しがられた方もいるかもしれないが、何のことは無い。これ全部、ミステリー用語という奴である。

本日紹介するゲーム『神林家殺人事件』は、このようなミステリー用語がふんだんに用いられた推理探索ダドベンチャーゲームだ。

嵐の山荘に集うミステリーマニア達、そこで交わされる衒学じみた会話の数々、そして起こる惨劇。

コアなミステリファンでなくとも、少しでもこのジャンルを齧ったことがある人間ならば「あぁ、お約束だなぁ」と笑みがこぼれるような展開だ。

本作は良くも悪くも「ミステリー好きのミステリー好きによるミステリー好きのためのフリーゲーム」といえるだろう。

既存のミステリー作品のお約束の多くを踏襲しており、そうであるが故にミステリーファンにとっては見慣れた、あるいは見飽きた展開を辿ることとなる。

この既視感を本作の欠点とみなす向きも確かにあるが、個人的には本格ミステリをいうジャンルが持つ雰囲気、空気感のようなものが上手く表現されているように感じた。

唐突な紹介ではあるが、本作は第7回ウディコンで総合7位を獲得した作品だ。

正直なところ、「ウディコンでそれなりに上位だから」という理由で、さしたる期待もせずにプレイを始めた。結果論であるがこのゲームに挑戦して良かったと思う。

今回のウディコン参加作品の中で「プレイ前の期待値」と「プレイ後の満足感」のギャップが一番大きかったのは本作かもしれない。なかなかに趣深い作品であった。

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ミステリのお約束満載! 『神林家殺人事件』レビュー!

最初に本作のあらすじを簡単にご紹介。

本作『神林家殺人事件』は、実際に起こった連続殺人事件「神林家殺人事件」を、その惨劇に巻き込まれた当事者の一人である作者がフリーゲームとして公開した、という「設定」の作品だ。

ゲーム開始直後にこのような内容の「まえがき」が流れるので、人によっては本作が「フィクション」なのか「ノンフィクション」なのか混乱するかもしれない。

結局のところ本作はフィクションであり、「実際に起こった~」云々のくだりは演出の一つに過ぎないわけだが、だからといって「まえがき」の全てが装飾の類なのかというとそうではない。

むしろこの「まえがき」こそが、このゲームの真相に到達する上での最重要のヒントといえる。
これ以上はネタバレになるため語らないが、勘のいい方ならすでにお気づきだろう。

そう、フーダニットだ。

 

適度にプレイヤーへの配慮が行き届いた探索パート

神林家殺人事件プロフィール

この手の探索アドベンチャーが陥りがちな欠点の一つとして、探索パートのダルさが挙げられる。

現場の状況を検証するため、あるいは容疑者達のアリバイを確認するため、このタイプのゲームでは同一マップ内を何度も行き来しなければならないことが良くある。

この問題はゲームジャンル上致し方ない部分もあるのだが、だからといって好ましい作りでもないだろう。
ぶっちゃけダルい。メンドクサイ。過度の作業感はゲームの楽しみを激減させる。

それじゃあこの『神林家殺人事件』はどうなのか、という話であるが、本作においても同一マップ内を行き来することによる作業感のようなものは確かにある。

しかし、メニュー項目の機能・資料から館内見取り図を常に確認できたり、主人公に同行するメンバーが変わることでオブジェクト確認時の会話文が変化したりと、本作は探索パートのストレスを軽くするための、またプレイヤーを飽きさせないための気遣いが、随所にされていたようにも感じた。

神林家殺人事件マップ画面

そのおかげだろうか。本作は推理探索アドベンチャーという気難しいジャンルでありながら、驚くほどに遊びやすいゲームに仕上がっているように感じた。

キャラクターとの会話に関してもシリアス部分とそうでない部分のメリハリが利いており好印象。

ミステリーというジャンルに詳しくない人が、ミステリーの雰囲気をつかむために手に取ってみる。そんな遊び方もありかもしれない。

 

余談に見せかけた本質のような蛇足

よく出来た推理小説って奴は数学の問題と良く似ている。

数学といっても大学以降の研究で取り扱うような「問題を問題として設定する」ところから始めるような数学ではない。ここでいう数学というのはいわゆるアレだ、受験数学だ。

何が似ているかというと、提示される情報に無駄がない辺りが良く似ている。

数学の問題文中に明示されている情報は、その問題を解く上で必要となる情報ばかりだし、推理小説中で登場人物が意味深な発言をしたときは、大体それが犯人を特定する重要要素となる。

突然こんなことを語りだして何が言いたいのかっていうと、この手の問題を解く時に「問題文中の条件」の中で「未使用の条件」があったりする場合は、たいてい何か見落としがあるんだよねっていう話。

名探偵、皆を集めて「さて……」と言い、というわけではないですが、さて。

これから『神林家殺人事件』を遊ばれる皆さん、あるいは既に『神林家殺人事件』を遊ばれ、エンディングに到達された皆さん。

余っているパズルのピース、ありませんか?

出来上がった絵がいかにもっともらしい出来だったとしても、ピースを余らせているようでは100点満点はあげられませんよ?

 


『神林家殺人事件』をダウンロードされる方はこちら。
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