【フリゲ】『アグニの神』レビュー!配役を入れ替え未知の結末を見よ!【60点】
タイトル:『アグニの神』
ジャンル:寸劇いじり系ADV
点数:60点
信賞必罰、勧善懲悪。予定調和の結末でありながらも最後まで目が話せない。流石は稀代の文豪というべきか。とはいえ、いささかストレート過ぎるきらいは否めない。個人的には『藪の中』や『河童』のような作品のほうが好みだったりする。
突然何の話をしているんだと思われた方もいることだろう。芥川龍之介の短編小説、『アグニの神』に対する感想である。
未読の方は、青空文庫で読むことが出来るので目を通しておくことをオススメする。
何故こんな話をしているのかというと、今回紹介するフリーゲーム、その名もズバリ『アグニの神』に関わってくる話だからだ。
タイトルからも分かるように、本作『アグニの神』は、芥川龍之介の同名小説をモチーフとした作品である。原作小説を知らなくても楽しむことは出来るが、元ネタを知っていたほうがより一層楽しめるだろう。そういう意味でも一度小説の方に目を通しておくことを推奨したい。
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短時間でサクっと遊べる演劇ゲーム!『アグニの神』をレビュー
『アグニの神』とはどんなゲームなのか?
最初に本作の概要について説明しておこう。本作『アグニの神』は、演劇アドベンチャーゲームである。
アドベンチャーとはいうものの、ひとたび演劇が始まってしまえばエンディングまで一直線である。劇中での選択肢などは存在しない。
プレイヤーに出来ることは、開幕前の配役指定と舞台指定の2つだけだ。
さて。作中内で繰り広げられる劇の内容だが、基本的には芥川の小説『アグニの神』をモチーフとしたものになっている。特に配役および舞台指定をデフォルトのまま劇を開始した場合は、原作小説にかなり忠実だ。
注目すべきは配役および舞台指定を変更した場合。
この場合は、大筋として『アグニの神』の展開をなぞりつつも、指定した配役によって劇の展開が大きく変化する。
儀式そっちのけで踊りだしたり、新聞勧誘に精を出したり。百合展開、BL展開なんてものもあったりする。
言ってしまえば、このゲームは元ネタ小説から如何に逸脱させるかを楽しむ作品だ。
配役・舞台の変更を繰り返し、如何に突拍子のない展開を引きずり出すか。未知の結末の探求こそが、このゲームの醍醐味と言えるだろう。
冒頭で述べたように芥川の小説の方は、信賞必罰・予定調和なドストレートな作品である。
それに対してフリーゲーム版『アグニの神』のなんと自由奔放なことか。このギャップこそが作者の狙いであったと考えるのは、流石に考えすぎだろうか?
3分ゲーコンテストが復活するらしいですよ?
言い忘れていたが、この作品は第13回3分ゲーコンテストの優勝作品である。
先日紹介した『(株)大盛産業』が3分ゲーといいつつ3分で終わらないボリュームの作品であったのに対して、本作『アグニの神』の方は、大体3分程度でサクサクっと1周することが可能だ。
正直ゲームとしての面白さはそれなりレベルであるが、3分ゲーというコンセプトに即したアイデアがキラリと光る作品であり、非常に興味深かった。短時間でサクっと終わらせることが出来るので、ぜひ皆さんも実際にプレイしてみて欲しい。
で、3分ゲーコンテストの優勝作品を立て続けに紹介した理由だが……
短編ならではの奇抜なアイデア、瞬発力を持った作品が数多く登場する3分ゲーコンテスト。今後の展開に注目だ!
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