黒色ワナビーの住処

フリーゲーム・ブラウザゲームをやりながら筋トレで体を鍛えるブログ

【フリゲ】物語に挑め!『魔王物語物語』をレビューしてみた!【80点】

      2015/07/15

タイトル:『魔王物語物語
ジャンル:物語を終焉に導くRPG
点数:80点


魔王物語物語のタイトル画面

かつて西尾維新は、『ネコソギラジカル』のカバーにこう書いた。『物語は破綻した時点で終わりですが、最初から破綻している物語には終わりようがありません。ただただ、失い続けるばかりです。』と。

この一文を初めて見た時、「面白いことを言うもんだなぁ」と感じたのを覚えている。にべもない言い方をしてしまえば単なる言葉遊びに過ぎないわけだが、西尾維新の作品は、この「言葉遊び」がとにかく上手い。それだけでご飯おかわり、駆けつけ三杯イケるくらいだ。

冒頭から盛大に脱線しているが、今しばらくお付き合いいただきたい。

基本的に『物語』と呼ばれるものは『始まり』があって『終わり』がある。仮に『終わり』がない物語があるとしたら、それこそ破綻した物語が、さもなくば作者がさじを投げたかのどちらかだろう。どちらにしたってロクなものではない。『物語』としては失敗作だと言うほかないだろう。

さて。今回紹介する『魔王物語物語』には、ある一つの『物語』が登場する。

――その名もずばり、『魔王物語』――

出自も謎なら結末も謎の、この物語。タイトルに『魔王』と入ってはいるものの、その実『魔王』が登場することなく物語は終わりを迎える。いや、より正確に示すならば『終わり』を迎えることなく『失われて』しまったというべきだろうか。

本作品は、この『魔王物語』を終わらせるための物語だ。『終われなかった物語』に、終焉をもたらすための旅路である。『物語』を『物語』たらしめるための戦いと言ってもいい。

そう。『魔王物語物語』は、勇者が魔王を倒してハッピーエンドという、ステレオタイプのゲーム作品ではない。『物語』に挑み、『物語』に勝利し、『物語』を終わらせるための物語。

――それが、『魔王物語物語』という作品の本質である。

 

スポンサーリンク

 

物語を物語るためのRPG! 『魔王物語物語』レビュー!

戦略性の高いエンカウントシステムとフリゲ最高クラスの高難易度戦闘!

冒頭からしつこいくらいに『物語』と連呼しておいてアレだが、まずは本作品の戦闘周りについて語らせていただきたい。

本作品はシンボルエンカウントを採用している。敵シンボルに接触することで戦闘へと突入するアレだ。ただし、ただのシンボルエンカウントではない。『魔王物語物語』におけるシンボルエンカウントは一風変わったエンカウントシステムとなっている。その名も『おもしろエンカウントシステム』。

名前だけ聞くと思わず脱力してしまいそうだが、これがなかなか出来の良いシステムなのである。

『おもしろエンカウントシステム』では、敵シンボルと接触してもすぐには戦闘に突入しない。接触してから一定時間、自由にダンジョン内を動き回れる時間があるのである。この猶予時間の間に別の敵シンボルに触れると、その敵も戦闘に巻き込むことができるのだ。少数の敵を各個撃破で倒していくもよし。多数を巻き込んで一網打尽にするもよし。エンカウントの仕方に戦略性を持たせたという意味では、実に画期的な発明だと言える。

更に、このエンカウントシステムでは、敵シンボルに接触する角度も重要になってくる。本作では、敵シンボルと接触した際の位置関係に応じて、戦闘時の敵の配置が決まる。さらに各種攻撃には扇状の効果範囲が設定されている。このため、上手く敵を一箇所にまとめることができれば、戦闘を有利に進めることができるのだ。

魔王物語物語戦闘シーン

上の画像はダメなエンカウントの例。敵が主人公を取り囲むようにバラけてしまっているので、まとめて倒すことができない。こうなってしまうと、全滅を覚悟したほうがいい。

そうそう。言い忘れていたが、本作品の戦闘難易度は相当に高い。ぶっちゃけ鬼畜ゲーと言っても差し支えないレベルで難しい。

先の文章で、敵を一箇所にまとめてエンカウントすれば有利なんて書いたが、この説明は正確ではない。より正しくは「生き残りたければ敵を一箇所にまとめろ」「取り囲まれた時点で全滅を覚悟しろ」といった感じだろうか。むしろ、一箇所にまとめようが、安全を取って一匹ずつエンカウントしようが、死ぬときはアッサリ死ぬ、そんなレベルの鬼畜難易度である。

一部では「マゾゲー」だなんて言われたりもしているが、実際その通りだろう。生半可な気持ちでプレイすると高確率で挫折する。少なくともライトゲーマーにはオススメできない。そんな作品である。

プレイされる際には、気持ちを強く持って挑んでいただきたい。

 

不親切さと不自由さ。その先にある自由な世界

『魔王物語物語』には、次にどこのマップへ向かえというような指示のようなものは存在しない。そのため、本作品を「自由度の高いゲーム」という文脈で紹介している記事をチラホラ見かける。

本作独自のシステムである『なんでも装備システム』(武器・防具以外の回復アイテムなど「なんでも」装備することが出来るシステム)も、本作が自由度の高いゲームであるという評判に、一役買っているようだ。

しかし、私個人としては『魔王物語物語』が自由度の高いゲームであるという風潮に疑問を感じる。

マップの移動指示が存在しないとはいえ、味方と敵の戦力差の関係上、攻略ルートはほとんど決まっているようなものだし、『なんでも装備システム』にしたって、元々のパラメータの少なさ(本作の戦闘には属性が存在しない)のためか、各装備アイテムが効果的に差別化されているとも言い難い部分がある。大抵の場合、能力値の上昇幅が一番高いアイテムを付け続けることになり、敵に応じて装備を組み替えるというような自由度・戦略性は存在しない。

つまり、本作品は一見して自由度の高そうに見えるシステムを採用しているが、その実、『正解』へと至る道筋は、そこらのRPGと比較しても取り立てて多いわけではないのだ。むしろ、作中における説明の不親切さによって『間違え方』に多様性を持たせている点に着目すべきだろう。

誤解しないで欲しいのは、この点をもって本作品の欠陥だと言いたいわけではない。むしろ、不親切さによって自由度を演出した手腕については高く評価している。

その上で、見せ掛けの部分だけを掬い取って、『魔王物語物語』を自由度の高いゲームと評するのはいかがなものかと思うわけだ。

この辺りの感じ方は、ゲームにおける『自由度の高さ』を個人個人がどのように解釈しているかによっても変わるだろう。本作を自由度が高いと評する考え方、それ自体を否定する気はない。しかし、第三者にその自由を勧めるにあたって、その自由がどういった自由なのかを説明しないと、「自由」を謳歌する前に「不自由」さに押しつぶされる可能性もあると思うのだ。本作品の場合は、特にその可能性が高い作りのように感じたので、野暮だとは感じつつも一言物申させてもらった。

 

物語に挑むということ

さて。最後になってしまったが、本作品で最重要ともいえる『物語性』について語ろうか。

とはいえ、私が考える『魔王物語物語』の本質部分はすでに冒頭で書かせていただいた。これ以上の部分は、少なからずネタバレが絡んでくるので、どう紹介したら良いものかと悩む。

一つ言えることは、『物語』を『物語る』という性質上、本作品はある種のメタ構造を内包している。これはつまり、『魔王物語物語』の『物語』が作中のみで完結しないことを表してると言ってもいい。

作中にて与えられた彼・彼女らの物語。それらをどのように解釈し、どのように終わらせるかといった最重要課題において、『魔王物語物語』は現実に存在する貴方自身の積極的な介入を望んでいるとも言えるだろう。

ゲームから与えられる情報をただ受け取るだけでは、『魔王物語物語』の本当の魅力、真の自由さにたどり着くことはない。

自ら率先して『物語と格闘』し、『物語に勝利』した者にだけ、『魔王物語物語』はそのエンディングを見せるのだ。

若干ネタバレ気味だが、本作のラスボスは、そういった意味で極めて象徴的なボスである。ボス戦の演出の格好良さも含めて、それを見るためだけに本作をプレイしても損はしないのではなかろうか。

 

『魔王物語物語』の総括

長々と書いたが、これから『魔王物語物語』をプレイしようと考えている人に贈りたい言葉はこれだけだ。

「プレイするなら覚悟をもってプレイしろ」

正直、「おすすめフリーゲームのまとめに載っていたから遊んでみようかな~」くらいの軽い気持ちならば、プレイしないことをお勧めする。十中八九、途中で挫折するだろうから。

ゲームの難易度・物語性、その双方において、『魔王物語物語』はプレイヤーに多大な覚悟を要求するゲームだ。だからこそ、やり遂げた時の達成感もひとしおである。

普段、私たちが何気なく消化していっている『物語』
挑む覚悟ができた方から、是非プレイしてみていただきたい。

 


『魔王物語物語』のダウンロードはこちらから。
(Vectorのダウンロードページに飛びます)

 - フリーゲーム , ,