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【フリゲ】フリゲ2014優勝作品『OFF』とは一体何だったのか?【50点】

      2016/02/02

タイトル:『OFF by Mortis Ghost 日本語版』
ジャンル:メタフィクションRPG
点数:50点


OFFのスタート画面

 

本日はフリゲ2014で一位を獲得した人気フリーゲーム、『OFF by Mortis Ghost 日本語版』のレビューをさせて頂く。

はじめに、この作品の周辺事情について簡単に説明しておこう。

この『OFF by Mortis Ghost 日本語版』、タイトルに日本語版と付いていることからも分かるように、とある海外フリーゲームの翻訳作品である。

ベルギーで生まれ、フランス語で記されたフリーゲーム『OFF』。これが、すべての始まりだった。

2007年に公開された『OFF』は、その独特の世界観が人気を博し、世界的に高い評価を受けているフリーゲーム作品だ。2011年には『OFF 英語版』が公開され、その後も多くの派生作品が生まれるなど、その人気は未だとどまる所を知らない。

このように海外では高い人気を誇る『OFF』であったが、日本での認知度は極めて限定的であった。言語の壁が大きかったのであろう。

その状況を打破すべく数名の有志が立ち上がった。彼らの手によって生まれた作品が、今回紹介する『OFF by Mortis Ghost 日本語版』である。

 

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『OFF』とはどんな作品か?

事前説明も終えたところで、『OFF by Mortis Ghost 日本語版』の内容について語るとしよう。

本作品の主要キャラクターは3名。「バッター」と「ジャッジ」、そして「あなた」である。

「バッター」は貴方が操作するキャラクターだ。とある重要な任務を達成するために、「あなた」と「ジャッジ」の協力を必要としている。

「ジャッジ」は本作品におけるナビゲーター役と言えるだろう。「あなた」と「バッター」の行く先にたびたび現われては、難解かつ抽象的なアドバイスをしてくれる。ちなみに外見は猫。

「あなた」については説明不要だろう。モニターの前で『OFF』をプレイしているプレイヤー、そうアナタ自身のことを指している。

 

「OFF」の会話シーン

上の画像は『OFF』のオープニングにおける1シーンだ。画像内で喋っている猫が「ジャッジ」。画面下のほうに映っている男性が「バッター」、ジャッジの言うところの人形である。そして、ジャッジが語りかけている相手、人形師と呼んでいるのが、プレイヤー(あなた)である。

このように本作品の主要キャラは、この世界が作られた世界であること、自分たちがプレイヤーの操り人形であることに対して極めて自覚的だ。作品構造として、メタフィクション的であると言い換えても良い。

このメタフィクション的構造と、独創的なグラフィック、プレイヤーの不安を煽ってくる楽曲の数々が見事にマッチしており、本作品はプレイヤーにある種の恐怖感・焦燥感を与えることに成功している。

OFFのマップ

この辺りの雰囲気作りの上手さが、この『OFF』という作品に熱狂的なファンを作り出した要因といっても過言ではないだろう。

 

私が『OFF』に低評価をつけた理由

作品の雰囲気作りにおいては芸術的とさえ言える『OFF』だが、本作品に付けた点数を見てもらえば分かるように、私はこの『OFF』というゲームをあまり評価してはいない。

その辺りの理由について、これから述べさせて頂く。

 

まず、第一に戦闘の単調さ・面倒臭さが致命的だ。本作品の戦闘はRPGツクール2003の基本システム(ATB形式のサイドビュー戦闘)を採用しているのだが、これがどうしようもなくテンポが悪い。なまじ敵が堅い事も相まってか、雑魚戦闘でさえ結構な時間を消費させられる。

OFF戦闘画面

戦闘の難易度についても、基本的には「攻撃」を連打していけば勝てるものが大半だ。戦略性が要求される場面はほとんどない。このことも本作の戦闘のダルさを構成する一因となっている。

さらにはエンカウント率の高さ、謎解きのために何度も同じ場所を往復しなければならないダンジョン設計なども、本作品の鬱陶しさに拍車をかけてしまっている。

本作品はストレスフルな作品だ。不気味なグラフィック、不安を煽る音楽など、プレイヤーの理解・共感を拒絶するかのようなテキストなどなど、プレイヤーに対するストレス要因は挙げればキリがない。もっとも、これらのストレスの大部分は演出として計算されたものであるため、そこに対してケチを付けるつもりは一切ない。

しかし、戦闘面のダルさについては、作品としての必然性が全く感じられなかった。意味も面白みも一切なく、ただただ障害としてそこにあるだけだった。これは大きなマイナス点である。

 

次に本作品のエンディングについても苦言を申したい。

ネタバレになるため詳細は伏せるが、本作品の終盤において、「あなた」はあるキャラクターから糾弾を受ける。

 

「君は何ということをしてしまったんだ?」と。

 

前述したように本作品はメタフィクションとしての側面を持った作品である。そして、メタフィクションの常套手段の一つに、作者からユーザーへの問いかけ行為がある。

前述した発言も作者からの問いかけの一種と言えるだろう。

つまりは、「作り手が用意した筋書きに沿って、盲目的にゲームをしているお前は、お前自身がやっていることの意味を考えたことがあるのか?」と、そう問いかけているように感じたのだ。

あるいは「ゲーム世界に対するプレイヤーの全能感を揶揄している」と言っても良い。

いずれにしても本作品のエンディングが、「ゲーム世界に介入するプレイヤーの姿勢に対しての問いかけ」となっていることは間違いないだろう。

 

実を言えば、こういったメタ構造による作者とプレイヤーの対話という作り自体は嫌いじゃない。

しかし、本作品に関して言えば色々と雑な面が目立つ。キャラクターの個性が強すぎるため、共感の余地が一切ないのだ。にも関わらず、終盤になっていきなり「お前は何をしてるんだ?」と言い出されても、「いや、お前らが勝手にやっただけじゃん」となってしまう。

プレイヤー自身の罪悪感に訴えかけたいのであれば、もっとプレイヤーを作品世界にリンクさせる仕掛けや演出が必要だっただろう。本作品はその辺りの作りがヌルい。

正直、この作品に存在する如何なる人物が死のうが、私は「ふーん、それで?」で済ませただろう。例え「世界」が滅びた所で、知ったこっちゃないのである。

 

結論として、本作品は最初から最後まで「他人」の事情に付き合わされる「ダルさ」を感じる作品であった。雰囲気作りが上手かっただけに、色々と残念である。

 

共感出来ない他人の理想ほど、鬱陶しいモノは存在しない。

 


【2016/2/2追記】
しばらくブログを放置していたらコメント欄が凄いことになっていた件について(ぉ

以下、コメントに対する返信的内容。

 

最初に本記事のレビューを内容に対し、不快に思われた方が多くいらっしゃった事に対して申し訳なく感じています。

人気作品に対して批判的なレビューを書く以上は、ある一定の反響は覚悟していましたが、予想を超えたコメントの多さ(またその内容の濃さ)に、この『OFF』という作品がどれだけ多くの人に愛されていたのかということを、あらためて痛感しています。

それを踏まえたうえでですが、レビューの内容については「私がプレイ中に感じた率直な感想」であり、このブログは「私個人の思いや考えを述べる場」という位置づけのため、撤回するつもりはありません。

個々のコメントに反論する気はありませんし、「シナリオの読み込みが甘い」「解釈が不十分だ」という指摘もごもっともだと思います。

しかしながら、作品演出上で必ずしも必要とは思えないストレスの数々(主に戦闘面)が、作品世界への没頭感、解釈しようという意欲を奪い去ってしまったというのが、私個人の率直な意見であります。

こういった私の考えに対して、批判もたくさんあるでしょう。それ自体は自然なことだと思います。

私が公開されたゲーム作品である『OFF』に対して批判的な評価をつけたように、この記事を読まれた皆さんには、公開された私のブログ記事に対して批判をする権利があると思っています。

ですので、今後も当ブログの記事に対してご意見・ご感想があれば、どうぞ忌憚のない意見を書き込んでいかれてください。
(不特定多数の方が見られる場所ですので、最低限の公序良俗はお守りください)

 

あ、でも、少しは手加減してもらえると嬉しいです(割とメンタル弱い……)


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