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官邸ドローン犯人が描いた漫画『ハローワーカー』が面白かったので感想でも書いてみる

      2015/05/27

首相官邸にドローンを突っ込ませた犯人が、自身の漫画作品をネットで公開していた件が話題になっている。

首相官邸に無人ラジコン飛行機ドローンが侵入した事件で、威力業務妨害容疑で逮捕された容疑者。彼が書いたといわれているブログが話題となっているが、実は漫画も描いていたことが判明。インターネット上で物議をかもしている。

参照元:バズプラスニュース

ちなみに問題となっているWEB漫画は下の二作品。

ハローワーカー禁老区

いずれもニコニコ静画にて公開されている作品で、ストーリーも繋がっているらしい。
ネット上での評判を見てみると、「過激だが意外と面白い」との評判が多かったので、私も実際に見てみることにした。

以下、作品内容のネタバレを含むため注意

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『ハーローワーカー』『禁老区』ってどんな作品?

最初に作品の概要を説明しておく。

現実と同様、少子高齢化が問題となっている日本において、高齢化問題を解決するための法案「老人駆除法」が制定。「老人駆除法」というのは、高齢者を駆除(殺害)することで浮いた年金や医療費を、次世代のための出産・育児・教育に充てようというものだ。

なお、高齢者駆除部隊は、ハローワークなどでスカウトした元・失業者によって構成されている。
若年失業者・ニートなどに雇用を与えることで、失業率の問題も解決出来るというわけだ。

以上のことから、作中では「老人駆除法」を日本が抱えるさまざまな社会問題を一気に解決出来る特効薬と評している

ハローワーカー画像

本作品はこのような社会情勢の中で時に弄ばれ、時に葛藤する人々の物語と言っていいだろう。

第一話にあたる「ハローワーカー」では付き合っている彼女の父親に結婚を反対された中卒フリーターの若者が、老人駆除部隊のテストワーカーとして働く(=老人達を惨殺していく)さまが描かれている。

第二話にあたる「禁老区」では一転して老人たちにスポットライトが当たる。
老人駆除法により生きる場所を奪われた老人三人が、法案撤回を求め姫路城に立てこもる。
そんな中、篭城する老人達を駆除するために一人の女性が送り込まれる。
彼、彼女らの間で交わされる国を支える柱とは何なのか、それが第二話におけるメインテーマと言えるだろう。

犯罪者が描いた漫画なんだから、どうせ頭オカシイ内容なんでしょ?

老人駆除法が施行されている世界観での物語なので、当然のように老人の惨殺シーンが出てくる。

そもそも高齢化が問題だから老人を殺してしまえという発想自体が乱暴なわけで、そういった意味で本作品は確かに過激な問題作とはいえるだろう。

しかし、このことが作者の異常性云々と関連付けられて語られるのだとしたら、それには大いに疑問が残る

実際のところ高齢化の解消のために老人を排除(=殺す)という発想自体は、実は目新しいものでもなければユニークなものではない。(少なくとも創作の世界においては)

私の記憶にある範囲だけでも、2000年に「バトル・ロワイアル」が映画化され話題になったときにも、「BR法なんて少子化を加速させる法案を作るくらいなら老人同士を戦わせろ」といった類の意見は一定数いたし、実際にそれを元にした老人バトロワとでもいうべき二次創作作品もあったと記憶している。
(具体的なタイトルは失念した。スマン)

また、実際に読んでもらえれば分かると思うが、本作品は意外にも若者・老人のどちらに対しても中立の視点で作られている

第一話『ハローワーカー』に出てくるフリーターの若者は、老人駆除隊に入ることで結婚を認められ、子宝にも恵まれるが、最後の最後には自身の駆除した老人の遺族によって復讐され死んでいる。

第二話『禁老区』においては、戦前・戦後と日本を支えてきた老人達の述懐を聞く事で、暗殺部隊の女性は改心し、最終的には「老人駆除法」の撤回まで進んでハッピーエンド。

このように本作品は老人・若者双方が社会に抱くであろう不満を描写しつつも、どちらにも肩入れせず、残酷な悪事をしたものには死を、他者のために頑張ってきたものには幸福をという分かりやすい勧善懲悪の作品になっているのだ。

私自身、実際に読んでみるまでは「犯罪者が描いたっていう話題性だけの作品でしょ」「どうせ変な思想でガチガチに固められた駄作に決まっている」と思っていたのだが、良い意味で予想を裏切られた

また、台詞回しもなかなか洒落ていて好印象。

三途の川にバリアフリーの橋をかけてやれ」「総員武装解除。ハローワークに直行する」あたりの台詞は特に素晴らしいと思う。

読者の目を引くインパクトある設定、テンポの良いストーリー展開、所々で光るセンスの良い台詞。そして意外にも中立的かつ公平な視点で描かれた人物描写など、驚くほどに作品としてのレベルが高い。正直言って、一部の商業作品なんかよりよっぽど面白く感じた

感想まとめ

漫画としてのレベルは高い。これは間違いないと思う。

ただ、テロ行為は良くないと思います(小並感)

まぁ、今回の件に限らずだけど、創作物の設定や登場人物の性格と、作者の人格・思想とは分けて考えないとねぇ。

余談だが、当WEB漫画と同様に話題となっていた容疑者ブログだが、あちらについては読む価値はないと思われる。内容のしょうもなさもそうだが、三点リーダー(=……)のかわりに中点(=・・・)を使ってるところがやたら多くて萎えた。

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