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将棋と政治の筋の良し悪し | 新聞コラム斜め読み-2013年11月10日-

      2015/05/20

囲碁や将棋の棋士が「顔を立てる」と言うことがある。「自分が選んできた手の顔は立てなくちゃ」という具合に使う。一局の勝負をどう戦うか決めた以上、途中で趣旨に背くような手を選んではいけない。そんな戒めのなかに、見苦しさを嫌う棋士の美意識がのぞく。

日本経済新聞『春秋』より

こんな書き出しから始まる本日の『春秋』

本題となるのは国民投票法の改正について。憲法改正に対しての投票権をこれまでの18歳以上から20歳以上に引き上げるそうだが、このことに野党はおろか自民の盟友のはずの公明党までもが反発を示しているという。

当然であろう。2007年に国民投票法を成立させ、投票権は18歳以上と定めたのは当時の安倍政権である。それをここにきて20歳以上とは、自らの顔も若者の顔も潰したに等しいと記事は結んでいる。

日本は2010年時点の人口比率で高齢者の割合が23%を越える超高齢社会である。高齢者優遇のシルバー民衆主義に対して反発を示す若年層も少なくない。今回の改正案は世代間の対立をより一層煽る形になりはしないだろうか。

もっとも、世界的なグローバル化の流れの中で、国家・政府が持つ役割といのは相対的に小さくなっている。

以前から若者の政治に対する無関心が指摘されているが、一方で昨今の情勢をきちんと知っているからこそ政治との間に意図的に距離を置く若者も出てきているように思える。

政治と若者の円満離婚なんて表現も稀に見るが、はてさて今後の動向はどうなるのやら。

ここでいったん、冒頭の棋士の話に戻りたい。

将棋のプロ棋士が話していたことだが、プロが指す手を決めるとき、まず行うのは読まない手を捨てることだそうだ。この捨てる作業を無意識レベルで行い、残った数本の筋を深く読むことでどの手が良いのかを決めていくらしい。

つまり棋士と呼ばれる人たちは線の思考で物事を考えている。そこに日経新聞のコラムニストが感じたような美学が宿る。

しかし、その線の思考を真っ向から否定する存在が現れた。コンピュータである。
コンピュータは人間のように筋で読むということをしない。あくまで局面ごとの最適解を計算し、点の思考を積み重ねていく。結果として流れを無視した筋の悪い手を指すことも少なくない。

しかし、そんな筋の悪い点の思考でさえ、プロの研ぎ澄まされた線の思考を打ち砕くことがあるのは、チェスおよび最近のコンピュータ将棋の動向を見れば否定し切れない事実だろう。

最近のめまぐるしい社会情勢を思えば、過去との整合性ばかりにこだわれないというのも理解は出来る。時には点の思考が必要になることもあるだろう。とはいえ、考えを改めるというのであれば、以前の案で想定していた結果以上のものが期待できる案を是が非でも出してもらわなければ困る。

今の結果の積み重ねが、未来への過程となることを思えば。

毎日新聞『余禄』では、文化勲章をもらった高倉健さんの「日本人に生まれて、本当によかったと、きょう思いました」という一言を取り上げている。

世代を問わず、「日本人でよかった」と言える未来が来ることを、日本人の一員として願ってやまない。

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